クマ撃ちのモリさん、教壇に立つ
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作成日時 : 2008/06/03 21:12
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4月から、立教大学で「自然環境と人間」という授業を受け持っています。
学部・学年を超えて選択できる一般教養科目で、毎週月曜、午前中は池袋、午後は新座のキャンパスへ出かけ、慣れない講義を行なっています。
内容は、自然に接して暮らす農林家、猟師、漁師、職人が経験から蓄積してきた「自然を見る眼」、あるいは「自然から得た知恵・技術」「共存の方法」(持続的利用)で、これまで取材資料として撮りためた写真のスライドショーを中心におこなっています。
科目名が特徴的なせいか、それなりに関心のある学生が多いようです。
中には居眠りしている子もいますが、私語もなく授業態度はけっこうマジメ。
実物標本を見せたり触らせると反応があるので、こちらも楽しませてもらっています。
今週は、ちょっと学生をおどろかせてやろう思い、大学のゲストスピーカー制度を利用して、特別講師を招きました。
奥利根のモリさんこと、群馬県みなかみ町在住の高柳盛芳さんです。
モリさんとワタシは、BE−PALで連載した聞き書き「モリさん、今日も森の中」の取材以来の付き合いで、この連載は『モリさんの野遊び作法』(小学館)という共著になっています。
モリさんは、奥利根マリンというボートショップを経営する傍ら、アウトドアガイドを行なっていますが、腕っこきの釣り師にしてクマ撃ち猟師としても近在に名を轟かせています。
4月最初の授業では、学生に自然体験にするアンケートをとりました。
いまどきの子たちにしては、それなりに野遊び経験が豊富なことに驚きましたが(そういう子たちだから、この授業を選んでいるのでしょう)、さすがに私たちが子供のころほど濃厚な自然体験をしている子供はいません。
そんな若者たちに、モリさんのような、筋金入りの「野の達人」を引き合わせたらどんな化学反応が起こるか。それが今回のたくらみです。
結果は予想通りでした。
ツキノワグマは本来、非常に神経質で臆病であること。
主体となる餌はドングリなど植物質であること。
そのドングリが十分に実らないとメスは流産してしまうこと。
猟の醍醐味は、足跡などからクマをひとりで追跡し、立ち向かう「忍び」にあること。
心あるハンターは、わざわざ蜂蜜でクマをおびき寄せてトラップで捕獲するような有害駆除には賛同しないこと。
駆除しなければならない原因を作ったのは人間で、クマが里に降りなくていい環境を本気で再生すべきであること…。
迫力満点のスライドと、奥の深いトークに、みんな目をまん丸くしています。
最後には、肌荒れに効くことで知られる「熊油」の実物を披露、学生にすすめる大サービス。モリさんの周りに、たちまち女子学生の輪ができました。
ワタシみたいな門外漢が教育の理想を語るのはおこがましい限りですが、モリさんのようなザ在野の人が営みの中で蓄積してきた「知の資産」も、人が人として生きるための立派な教養です。
こういう人に、もっともっと光が当たる社会であってほしい。
そんな思いで立てた企画が当たり、ひとまず胸をなでおろしています。
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