備長炭はやっぱりすごいよ、という話
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作成日時 : 2007/12/20 10:47
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極上のアナゴとサザエをいただきました。
アナゴは一緒に釣りに行った和田さんが釣った獲物。サザエは海遊びの大師匠・房総のS先生からのいただき物です。
漁師さんや海女さんとの付き合いが深いS先生のところには、ときどき食べきれないほど海産物が届くらしく「腐らしちゃもったいないから持って帰って」と、お裾分けいただいたのでした。
こんな極上の食材を、テキトーに料理してよいわけがありません。
さっそく七輪と、和歌山県古座川町の炭焼き職人・阪本保喜さんが焼いた紀州備長炭を引っ張り出しました。
備長炭は、以前、取材の際に分けていただいた規格外(大型)のものです。
ちなみにこの阪本さんの聞き書きをまとめた単行本『紀州備長炭に生きる ウバメガシの森から』が、農文協の人間選書シリーズから好評発売中。
http://shop.ruralnet.or.jp/genre.php?mode=detail&id=011505&b_no=01_4540062727
(ちょっと宣伝でした)
で、問題はこのでっかい備長炭であります。
金槌で叩くのですが、普通の黒炭とちがい、そう簡単には砕けてくれません。まるで石を割っているような硬さ。
なんとか七輪に合うサイズにしたものを火熾し器に入れガス台へ。
備長炭は炭化率と一定体積あたりの密度が高いハイカロリー燃料です。1000c度を超える高温にさらすため、分子配列も半分金属みたいになっています(電池の実験によく使われます)。
組織の中の空隙も極端に少なく、火付きが非常に悪いという特徴があります。
南紀白浜空港では危険物に指定され、一定基準で包装された備長炭以外は持ち込めない決まりになっていますが、もし100円ライターで焙り続けても、火が付く前にガス切れになるか、その前に親指を火傷してしまうはず。
ですから、持ち込み禁止措置は、実際にはあまり意味のある決まりとは思えません。着火したら怖いということなら、熊野古道歩きの杖のほうがよっぽど燃えやすいかも。
実際、ガス台に乗せても、むらなく火が付くまでには10分ぐらいかかります。
でも、一度火がついたら、備長炭の力というのはすごい。
まるで石英管から熱線を放出し続けるように、ずっと同じ調子で赤く静かに燃え続けます。団扇で風を送るとそのときは力強さを増しますが、止めるとまたジーッと一本調子で燃え続けてくれるのです。
サザエの水が少々落ちてもはじき返し、同じ火力を維持します。
アナゴの油なんかは滴っても一瞬で燃えてしまい、身に黒い煤がほとんどつきません。
火に底力があるので、油や水が落ちても温度低下(不完全燃焼)が起きにくいのですね。
灰が非常に少ないというメリットもあります。
原木のウバメガシです
火付きの悪さに次ぐ難点は、火持ちがよすぎること。料理が終わっても、まだずっと燃え続けています。
阪本さんは、こんな備長炭の特徴について、こんなふうに言います。
「今は鰻屋でも備長炭は火付きゃ悪いと言う者があるが、昔はそんな文句をいう職人は誰もおらなんだよ。みな備長炭というものをよう知っとったさかいな。逆に、すぐ火ぃがつくような備長炭は、ほんまもんの紀州備長炭とは違うで。備長炭は本職が使う炭やさかい、バーベキューするんやったら、すぐに火ぃ付いてじきに消える黒炭でええよ」
遊び半分で使う炭とは違う。プロユースの燃料だとおっしゃるのです。
ガツンと心に響くこういう言葉がかっこいいんだよなあ。
そう聞くと余計に惹かれて、ときどき遊びたくなってしまうわけで。
もったいないので最後は消し炭にしましたが、年の瀬に黒豆などをコトコト煮込むにはとてもよさそうな炭です。
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