自然派SOHOライターの日常 「B級田園生活日記」

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棕櫚(シュロ)を見直す

<<   作成日時 : 2007/06/09 22:18   >>

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写真の木は、『ふれあい』というグリーンツーリズム系PR誌の取材で、愛媛県の内子町へ行ったときに撮った棕櫚(シュロ)です。
日本の樹木の中ではかなり異質なたたずまい。それもそのはず、ヤシの仲間なのだそうです。

まっすぐな幹から、これまた直線的に斜め上へ伸びた葉柄。この付け根を、包帯でテーピングするように取り巻いているのが、細長い繊維が縦横に入り組んだ皮です。

プラスチックのない時代、この皮は非常に便利な生活素材でした。
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油分をたっぷり含み、腐食に非常に強いのが第一の特徴。井戸水の濁りを砂や炭を使って濾過するときは、いちばん下に布状の棕櫚皮を敷いたそうです。
皮を重ねたものは、雨をしのぐ蓑(みの)になりました。
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第二の特徴は、この皮を構成する毛(繊維)が、とびきり強いこと。昔は船をつなぐ「とも綱」といえば、麻よりも棕櫚だったとか。お金持ちの家では、藁(わら)のかわりに、壁土へ棕櫚の毛を練り込んだといいます。
藁は年数がたつと劣化しますが、棕櫚の毛は壁土の中でずっと強度を保っています。

垣根を組むときに使われる材料に棕櫚縄があります。昔は本物の棕櫚を使っていましたが、今はヤシの実の繊維をほぐした輸入の代替品になっています。
「本物の棕櫚縄なんか使ったら、いつまでも腐らないから庭師は商売あがったりだね」
というのは、話を聞かせてくれた、ながいけ民芸店の長生志郎さん。
長生さんは、棕櫚の毛でホウキやボディーブラシを手づくりしている、いまどき貴重な職人です。以上の話は、みんな長生さんの受け売りであります。
棕櫚のホウキは毛足が細いわりに腰があり、畳の中のホコリをよく掻き出してくれるとか。また、水で洗えるので衛生的だとも。

「便利な毛だったから、昔は農家ならたいてい裏山や畑の境界に1,2本植えていたものだ」
道すがら見てみると、長生さんがいうように、ぽつりぽつりと残っています。

じつはむかし、茨城の私の実家にも大きな棕櫚が1本ありました。春になると父親が皮を掻き取り、池に入れていたのを覚えています。飼っていた錦鯉に卵を産ませるためです。

そんなことを思い出しながら、いつも遊ばせてもらっているKさんの里山をみたら、小さな棕櫚がたくさん出ていました。どこかで青黒い実をついばんできた小鳥の置き土産でしょう。

今年はじめ、かつての大産地だった和歌山・紀北方面に行ったときも、棕櫚の木自体はたくさん見かけました。しかし、近所に人によれば、ここ20年ほどはまったく活用されていないとのこと。たしかに、下半分はヤシの木のようですが、上半分は毛むくじゃらのまま。
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こんなすばらしい資源を眠らせておくのはもったいないと思いませんか。
現代の暮らしにも役立ち、きちんと産業化できるいい新しいアイデアはないものでしょうか。

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